だれも私のことなんてわかってくれない。その幸せについて。
僕は君のこと分かってるよ。カメノセタロウです。
世の中には良く分からないことがあふれております。混迷する世界の政治経済、増える国の借金、止まぬ戦禍、明日の天気、私が冷蔵庫へ入れておいたプリンの行方。そのような良く分からないものの中でも、特に私が理解に苦しむ言葉がいくつかあります。
- 外見で判断しないで。
- だれも私のことを分かってくれない。
- どうせカラダ目的でしょ!などなど。
以上の言葉に共通するのは、『物質的なことより精神的・内面的なことを重視して欲しい』そのような願望であります、良く分からないけれど多分。
外見で私を判断しないで。
しかしながら、しかしながらです。本当に、私たちは内面、つまり心の内をもっと他人に知って欲しいのでしょうか。例えば先日のことです、元ニートの私が現在の職場で窓口業務をしておりましたところ、お客様のバインバイン*1がいらっしゃいました。
カメノセタロウ「お客様、こちらの書類にご記入ください」
バインバイン「ここですか(前屈みしながら)」
カメノセタロウ「それとこちらにも本日のお日付を(青色ですか、爽やかですね)」
ーバインバイン退出ー
先輩「すっげえな、今のバインバイン!次来たら俺が対応するからな!」
カメノセタロウ「ブラ青色っすよ!谷間すげかったっすよ!!」
私はバインバインにこのような自分の内面を知られたくもないし、もし、あなたがバインバインの立場であったとしても、このような相手の内面を知りたいと思うでしょうか?いや、思わないはずだ。「バインバインになれるならそのようなことも我慢できる!」と御思いの方がいらっしゃるかもしれませんが、それは違う話になりますし、貴方がバインバインになることもないので諦めてください。
私が思うに、大きな勘違いのもとは「精神は肉体に優る」「目に見えるモノより、目に見えないモノの方が大事だ、大切だ、優れているんだ」と言った思い込みではないかと思われます。
最初に挙げた、発言について考えてみましょう。
- 外見で判断しないで!
いえ、逆です。外見で判断されているから、この程度にまで評価して貰えているのです。考えてもみましょう。貴方の内面は貴方の外見より美しいでしょうか。心の内をいつでもどこでも誰にでもさらけ出せるほどの自信があるでしょうか。他人のどのような成功(○○ちゃん、窃盗に成功したんだねおめでとう!など)も心から祝うことができ、よこしま(楽して稼ぎてえなぁ、など)な考えを持たず、他人を自らの欲求のために利用(ついでにこれも洗っといて。など)したりしたことがないと言えるでしょうか?嘘など付いたことは無いと言えるでしょうか?私は言えます、何度でも言えます。また、私は断じてそのような人間ではありませんが、何食わぬ顔して女性のブラの色をチェックするような心持をしている輩もいるんですよ。私にはそのような存在を到底信じられませんが。外見を見るように、人の心の内が誰にでも筒抜けになっている世界ならば、恥ずかしさや罪悪感などで、到底生きていけないのではないでしょうか。
そうです、私たちは小狡賢いのです。他人が私たちの内面を知らないからこそ、そう知ってこそ声を大にして
- もっと内面を見て!
と、言えるのです。この時点ですでに性格が相当悪い。自分で隠しておきながら「だれよー、○○ちゃんの鉛筆盗んだのー。もー、○○ちゃん泣いてるじゃーん」レベルに性格が悪い。もし、内面を見ることができて、外見を人に知られることのない逆の世界に生きていたら、私たちはこう言っているはずです。
- 内面ばかり見ずに、もっと外見を大事にしてよ!!
私たちは、内面を見て欲しい訳ではないのです。他人に見られてしまう部分にはあまりにも難点が多いので、見て欲しくないのです。しかし、そのようなことをストレートに表現するわけにはいかないので、このように言うのです。
- (見ることのできない)内面を見ろ。
人に見られる部分を見るなと言い、人に見られない部分を見ろと言う無理難題。つまり、要約すればこうなります。
『見えないモノを見ようとしろ。見えるモノは見るな』
カルトに近いものを感じる
人類には少し無謀な要求ではございませんでしょうか。無謀だからこそ、不可能だからこそ言っているのですけれども。
二番目の
- だれも私を分かってくれない。
も似たようなものです。この言葉の言わんとすることは、きっと以下の通りでしょう。
- 私の悪い部分や汚い部分じゃなくて、私の分かって欲しい私にとって都合の良い部分だけをだれも分かってくれない。
これまた性格の悪さがにじみ出ております。言葉を解釈する人間の性格の悪さが原因ではないことを祈るばかりです。そんなふうに私を見ないで!
だれもが私のことを分かってくれる世界。そんなもの、ホラーですよね。コンビニへ行ってお菓子を買うわけですよ、そうしたらレジの人に「あ、この人昨夜、湯船の中で無表情に屁をこいてたな」とか分かられてしまうわけですよ。ちょっとした快感じゃありませんか?ありませんか。そうですね私もそう思います。でも、湯船でおならをするのってちょっと気持ち良いですよね。そういった私のことを分かってくれないからこそ、私たちは好き勝手に自分の口で都合の良い「わたし」を語り、演じることができるのです。私のことを勝手に分かられない世界で、自分の好きなように「わたし」を語れる世界、なんて幸せなのでしょう。カメノセタロウも、そのような世界だからこそ周囲からの評価が「あいつは使えない」「もう少し真面目にできないのか」「なに考えてんの?」で高止まりしておるのです。
最後の
- どうせカラダ目的でしょ!
これは非常に難しい言葉です。まあ、このような言葉を言われてしまう側にも多くの問題があるようには感じてしまいますが。ええ、私は言われたことはありません、ええ断じて。ええ、内面を見られぬことに感謝しております。さて、この言葉に多くの諸兄が反射的に思いつく反論としては
- お前のカラダにそれだけの価値があると思っているのか。自惚れるな。
- 安心して下さい、半分は金目当てですよ。
- いや、本命ができるまでのツナギだよ。
- そうだよ、カラダ目当てだよ!
- ココロが。ボクのココロが君のココロを求めているッ!
と言ったものがあるかとは思いますが、いかがでしょうか。言ったことのある方、正解があれば教えてください。また、実際に言った諸兄の方でご存命の方がおられましたら、こと切れる前に結果を教えてください。急いで!まだ死なないで!
この言葉が謎なのは、何を求めている言葉なのかが甚だしく不明な点にあります。上記の二点
- 外見で判断しないで。
- だれも私のことを分かってくれない。
と比べても、謎が深い。なぜなら、この二点は求めるところがシンプルだからです。すなわち『わたしに都合の良い解釈をしろ』と言った欲求をありありと見て取ることができるからです。しかしながら、今回の言葉が求めるものが全く見えてこない、私の0.1以下の裸眼の視力をもってしても見ることができない、しかも乱視が入っているのに。
どうせお金目的なんでしょ!
ただ、個人的には『お前のカラダが目当てなんだ!』と自信をもって言える相手に巡り合ってみたいと思うこともしばしばです。ちなみに、昔話ではありますが、実際にそのような旨の発言を異性との食事中に言ったことがあるのですが、発言が終わった5秒以内に起立され、礼もせずに店の出口へと向かわれておりました。再度の着席をしていただくまで、5分程度の時間を要したことを記憶しております。以上のことから、『カラダ目当てだよ!』といった発言はおそらく正解ではないな、と思うのですが、いかがでしょうか。この点に関しましては、正解をご存知の方の出現を気長にお待ち申し上げておりますので、よろしくお願いいたします。
もっと僕の都合の良いところばかりを知って欲しいカメノセタロウでした。
*1:胸部のふくよかな女性を指し示す言葉。その胸部の揺れる時に発しそうな音からこのように表現される。