神話・伝説・神様にツッコミ ~初代天皇編~ 執拗なお兄様dis
こんばんは、初代カメノセタロウです。暑い夏、クーラーも扇風機も無い部屋で、今宵も元気に悶えてます。「今年こそエアコン買うぞ!」と思いはじめてから、早五年以上経過しました。平安時代とか、夏はどうしてたんでしょうねホンマに。
ところで、現在の天皇は初代から数えて125代目なのですが、他の君主制の国は何代目なのかと少し調べてみました。
イギリス:4代目(1910年~)(ウィンザー朝として)
オランダ:7代目(1815年~)
ローマ教皇:266代目(???~)
いずれ、ローマ教皇ネタもしたいと思っております。
金色の鳥が飛んできて戦に勝つシーン。金色ちゃうやん!!
さて、皆さんは初代天皇のことをご存知でしょうか。私の学生時代は学校で教えてくれなかったのですが、今ではどないなもんでしょか。今から2600年前、奈良県の橿原で初代天皇が即位しました。その名は『神武』。2600年前言うたら縄文時代やないか!とツッコミながら、初代天皇とその周辺のお兄さんdisのお話をしてゆきましょう。初代の天皇とかあんま話し知らんなぁ、って人もご存知のアノ人も出てくるよ!
日本神話は、『天地創造的な話し』『天界でのなんやかんや』『下界の平定(出雲神話)』『天界から宮崎県へ降臨(天孫降臨)』『九州から奈良県へ!初代天皇即位!』てな感じに話しが進みますが、初代天皇のおじいさんのお話しからしてゆきます。
お兄さんは意地悪だ by山幸彦
昔々、あるところに兄弟がおりました。お兄さんは釣りが上手で、海幸彦と呼ばれ、弟は猟が得意で山幸彦と呼ばれておりました。とある日、兄弟はお互いの道具を交換し、兄は山へ、弟は海でそれぞれ獲物を狙いました。
海幸彦(兄)「ムキー!!収穫なしやわ、やっぱ慣れへんことはするもんちゃうな、あかんわ。弟よ、釣り具返して、もうこんなん辞めやわ」
山幸彦(弟)(ぼ、ぼく、釣り具無くしちゃったんだな)
海幸彦(兄)「なんやねんお前、はよ返せや!!」
山幸彦(弟)(無くしたもんは無いんだな。自作した釣り具を渡しておくんだな)
海幸彦(兄)「いや、これ俺が貸したのちゃうやん、俺が貸したの返せや。海の底まで探してこんかい!!!」
そして始まる山幸彦の大冒険。海の神様との出会いあり、その娘との結婚あり、釣り道具も見事探し出して兄のもとへと帰ってきました。
海幸彦(兄)「お前帰ってくるの遅いわ、あれから三年以上たっとるやんけ!!」
山幸彦(弟)「う、海の神様が教えてくれた呪文を使いながら釣り具を返すんだな!」
海幸彦(兄)「ぎゃー、これからは貴方を楽しませるピエロになるんで許しておくれなまし!」
山幸彦(弟)「や、やったんだな。そいえば、海でゲットした奥さんがそろそろ出産なんだな」
海神の娘「そろそろ子供生まれるけど、出産シーンは見ないでね。出産時に旦那が立ち会う習慣はこの神話の時代にはまだないのよ(はぁと」
山幸彦(弟)「そ、そうは言われたけど見るんだな」
なんとそこには龍(サメ)の出産姿が!
海神の娘「あんたなんやねん!!見るな言うのに見てからに!!!もうあかんわ、実家に帰らさせて貰うわ。子供は置いていくで、あんたが育てや!!名前は私が決めとくわ、ウガヤね!」
てなことでメデタシメデタシ、初代天皇のお父さん『ウガヤ』が産まれました。初代天皇のお父さんは、サメと山の神様のハーフだったんですね、どんな姿だったのか記述の無いのが惜しいところ。人面魚なのかしら、もしくは魚面人なのかしら。
それにしても、お兄さんがdisられて排除されてますが、なぜなんでしょうね。釣り具無くすウッカリ弟disの話しにしても良いし、兄弟の話しじゃなくて神様と他のなんかの話しにしても良いのに。兄を貶める話し、これは何か意図を感じますね!ムムム!
初代天皇とその兄弟の巻 お兄さんはやっぱり排除
さて、サメを母に持つウガヤ君は、母の妹を妻に娶り、4人の息子を持ちます。あんたのお父さんの覗き見のことで海の神様に嫌われてなかったんですかね。そして、海の血濃すぎませんかね。
ウガヤ「よっしゃ、俺の後継者は15歳になった四男のイワレヒコな!」
問答無用で、いきなりお兄さんたち面目丸つぶれ。
それから30年が経ちました。
イワレヒコ「俺たちの先祖が宮崎県に降臨してから約180万年、父祖の代々の善政はまだこの国土全てに行き渡ってない!そや、この国の中心地へ行って善政を広めようやないか!」
聖書では、年齢500歳越えの人とか頻繁に出てきましたが、日本神話ではなんとぶっ飛びの万年単位。このイワレヒコで、天界から地上へ降臨して四代目なので、先祖三人の一代当たりの年数は60万年。これには500歳越えて息子に犯されたピチピチのノアも苦笑い。
ちなみに、「善政をした」と書いておりますが、ここまで日本書紀や古事記などの日本神話の記述には「政治をした」「具体的な統治活動」はまったく書いておりません。政治をしていないのに善政とはいったい・・・。魚釣ったりするのが政治なんですかね。
そんなこんなで、軍隊をそろえ、兄たちとともに九州から瀬戸内海を東へ向けて出発!そして、岡山県を通過中、亀の甲羅に乗った変な人を見かけます。
イワレヒコ「誰お前」
カメノセ「あんたらが天孫降臨する以前からこの国におった神様やで」
イワレヒコ「海の道知っとるか?知っとるなら道案内せえ」
カメノセ「へえ、承知おま」
なんで亀の背に乗っているのか聞かない後の初代天皇超クール。普通、亀の背中乗ってるやつ見かけたら道なんて聞かず写真撮るわ。ってかお前、浦島太郎やろ!!!登場する物語間違えてんぞお前!!なお、このお話しは『古事記』にのみ書かれており、『日本書紀』には書かれておりません。
そんなこんなで、大阪に上陸。奈良へ向かって攻め込みます。ここからは『日本書紀』をベースに話を書いてゆきます。もちろん、日本書紀は天皇を称えるために書いたものだから、なんなく奈良を平定しますよね!!!初代天皇は強かった~完~
イワレヒコ「あかんわ、かなんわ、奈良県の王寺町付近まで来たけど、道険しいわ。いったん引き返して生駒から奈良に入るわ」
・・・。
なんでそこであきらめるんだ!!もう奈良県やん、なんで大阪に戻るの!!
まあ、自然には勝てないよね神の子でも。仕方ないよね。
イワレヒコ「あ、敵の軍勢やわ」
日本書紀は天皇の正当性を訴える!後に初代天皇となる人の戦い、ここは絶対に負けられない!初代天皇は強かった!
イワレヒコ「あかんわ、敵強いわ負けたわ。逃げるで、すたこらさっさのさー。大阪からやなくて、和歌山に回って、南から奈良へ入るで」
・・・・。
兄1「ついでにワシは負傷してもうた」
イワレヒコ「なにやってんのあんた」
いや、あんたらなにやってんの。神話やったら華々しく勝って、清く正しく美しく強くあらんかい!!!なんで神様が神様ちゃうのに負けとんの!!!
兄1「あ、こらあかんわ。思ったより深手やわ。ほなお先に」
兄1戦死!しかし、まだ兄が2人残されている!
兄2「大阪の泉州越えてようやく和歌山へは来たけど、波が良くなくてなんか船が進まんなぁ。ほなお先に」海へブクブクブク。
兄2の唐突な死亡。しかし、まだお兄さんが一人残され・・・
兄3「ホンマやなぁ。俺らの母さん海の神様やのに、なんでこんなことに。ほな」海へブクブクブク。
なんなんですかね、なんなんですかね。この「今後の物語の都合上邪魔だから、とりあえず存在をここで消しておいた」的な短絡的な排除の仕方は。お兄さんたち、あまりにも可哀想ですがな。どうせ殺すなら殺し方ってもんがあるでしょうがあの名作タッチを見習って欲しいですね。
敵の兄も排除しよう
いろんな不幸もあったけど、イワレヒコは和歌山県から奈良県へ山の中を元気に進軍。奈良の宇陀と言うところを過ぎたところで、とある兄弟に出会います。兄の兄猾(エウカシ)、弟の弟猾(オウカシ)。また出てきましたね、兄弟。ここまでの流れから、なんとなくもう予感がしますね、はい。何の予感でしょうね、これは、はい。
弟猾「ははー、天孫さまに従い申し上げまするー」
兄猾「なにが天界から来た神の子や!罠を仕掛けたろ!」
兄猾は自分の仕掛けた罠に自分ではまり、お亡くなりあそばしましたとさ。
さて、そのように戦いを続けながら、奈良の中心部へと突き進むと、今度は兄磯城(エシキ)と弟磯城(オトシキ)が・・・。あ、もう結果がわかるって?なぜかなぁ。貴方は超能力者ですか?ムムム!とりあえず、「兄」が付くものは悪者にしておけば良いという風潮、何ですかねコレ!個人的な考えでは、兄を抜かして弟が皇位を継承した時などに、過去の伝説をちょいちょいといじって、兄ではなく弟が皇位を継承する正当性を確保しようとしたとかそんなところなんですかね。ちなみに、この神武天皇周辺以外のところでは、こんな兄disは無いんですよね。色々妄想がはかどるところです。
初代天皇即位、その前に
さてこの後、奈良を平定して、奈良県の橿原で初代の天皇に即位し、神武天皇となるイワレヒコですが、その前にちょっと不思議なお話しが。
奈良土着の勢力「なんなん?なんなんいったい!!もう勘弁してえや。あんたら天神の子って言うけど、なんなん?昔々に天神の子がここらへんにも降臨して、俺らはその人の配下になってるんやけど、どっちが正しいんよ!天神の子は二人おるんか?どっちか偽者やろ!天神の子言うて人の土地取ろうとするアンタ偽者ちゃうんか!!」
日本書紀は天皇の正当性を主張する物。ほら、ズバーンともう一人の自称天神の子を論破してくれるはず!!!
イワレヒコ「あ、それもホンマモンの天神の子やわ」
????
ええんですかね、日本書紀。日本書紀や古事記を読む前は「天皇やその神の一族が清く正しく美しく力強く正当に存在する根拠となる本や!」とか思ってたんですが、読み進めていくと「ええんか?こんなふうに書いて。当時の編集長誰や!ワシやったらもっとうまいこと隠して書くのに!」とか思ったりしたものです。
ちなみに、この時に出てきたもう一方の天神の子は物部氏の先祖と言うことになっております。教科書にも出てくる物部氏、皆さんご記憶にありますかね?仏教を受け入れるかどうかで争った蘇我氏と物部氏のとこで出てくる一族ですね。その時の争いで失脚する物部氏ですが、日本書紀の神話が形成された時代には、天皇家と同じく天神の子だと言われるほどの勢力があったということでしょうか。
この物部氏は軍事をつかさどる一族で、その神社は奈良県の石上神宮なのですが、こじんまりとした境内にきれいな鶏がおり、私の好きな神社の一つでもあります。また、ここでは、神武天皇が和歌山県を通過中にゲットしたとされる剣が出土しておったり、朝鮮半島の古代国家、百済から献上されたと日本書紀に記述のある異形の刀、『七支刀』が現存しており、時々公開しておったりします。
と、最後に奈良の観光をアピールしながら、暑い夜を過ごすカメノセタロウでした。
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あ、ちなみにこの神武天皇には3人の皇子がおりまして、一番下の弟が・・・。え、お兄さん2人の運命がわかるって?おかしいなあ、まだ何も言ってないのに・・・。