ケーキをペロペロする奴は大体友達

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ケーキのフィルムをペロペロする奴は大体友達

ノーインターネットノーライフ 言うてますけど

フラグが折れる音を聞いてみたい。

基本的に酔うのは好きでは無いカメノセタロウです。

 

昔々のある夜の話だ。

下戸の私には珍しく、女性と二人、場末の飲み屋で、晩飯がてらにアルコールを口に含んでいた。
猥雑な店内の喧噪に、二人の会話はかき消されがちだったが、たまにはこんなお店も良いか、とくつろいだ気分で時を過ごしていた。

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店内は、ほど良い混み具合で、私たちの隣のテーブルでは、若い女性三人が楽しげに飲み騒いでいた。


「さて、このお店を出たあとはどうしようか」と、うすらぼんやり清楚な事を考えつつ、鶏の一品を注文した時のことである。


「あ、うちらもそれー、そのお兄さんが頼んだ鶏のやつ一つちょうだーい」
と、隣の三人衆がのたまったのである。

 

な  ん  で  す  と  ?


社交的な人間であればここで何らかのリアクションすれば良いのだろうが、残念なことに私は「清楚」で「おとなしく」て「消極的」で「人が苦手」な「恥ずかしがり屋」なのである。

当然なんのリアクションも出来ず
「え?なにこれ、なんか絡まれてる?いや、空耳だろ…なにあのお三方…」
と、正々堂々、胸の中でこっそりつぶやく程度であった。

もちろん、その三人衆の方を見る、とかいう冒険的な事が出来るわけでもない。


しかし、その後も三人衆の攻撃が続いた。
私が何かを注文するたびに
「あ、うちらもそれー3っつー」
と、注文をかぶせてくるのである。


何の目的だろう、女性と一緒に飲んでいる男性に対して、何の目的があって絡んでくるのであろうか。
コミュ能力の無い私は戸惑うばかりである。


そして、さらなる攻撃があった。
酔いも手伝っているのか、声の大きくなった三人衆の中の一人が興奮したマウンテンゴリラのように机を叩きながら
「うち絶対出来ちゃった婚するわー、彼付けてくれへんしー」
という趣向の発言を300倍程度露骨に、擬音語まで付けた親切丁寧な解説でお話をしてくださっていた。
ここまで、クールに無視を決め込んで聞き耳をたてていた私だが、さすがにちょっとどんな奴なのか顔を見てやろうと、勇気を振り絞って視線を三人衆の方に向けてみた。


もちろん、直接相手の顔を見るとか、そのような蛮勇はないので、相手の足元の方からそろりそろりと視線を上げて行ったのだが・・・

 


  見   え   と   る

 

なにがって?
下着が。パンティーが、パンチーが、ショーツが。
こっちに股を広げ座っとる。
意図的か?意図的なのか?わざとなのか?


お前・・・
下着見えとるぞ?見るぞ?見てるぞ?見透かすぞ?
        「見る変格活用 近代日本文法集より」


勿論、清楚な私の視線はその下着に固定され、視線がぶれる事は無かった。

「黒、か・・・。ふぅ。」

しかし、まぁ、何と性的な刺激の無い下着なのだろう。あからさまであればあるほど刺激的ではなくなる。 
それでもなぜ見てしまうのだろうか、永遠の謎である。


そのような哲学的な問いを自らに投げかけながら、店から出た途端に

「ねぇねぇ!隣の人の下着黒かったよ!黒だったよ!」

と、食事を共にした女性に告げたのだが

「そう」

と、微笑みながら憐れむような眼で私を見ただけであった。

「やはりあの三人衆はフラグクラッシャーだったのだ」
そう責任転嫁をしながら夜はさらに更けるのであった。

社会の夜の風は冷たいものである。