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『夫のちんぽが入らない』 ~人生とちんぽはものさしで測れない~

こんにちは、みつまりです。

本日は、少し前に読んだ本の読書感想文を記事とさせていただきます。

『夫のちんぽが入らない』 こだま

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そうです、もちろんタイトルに惹かれて購入しました。

誰しもやっぱり気になるものだと思うのです、自分以外のご家庭や恋人間におけるの夜の営み。皆さんは気になりませんか?私は全然気になりませんけど。

 

 

無自覚なタブーの代弁者

非常に下世話なお話で恐縮なのですが、例えば、もう近年では珍しい事でもなくなった『授かり婚』の報告を聞いた時などに

「なるほど、それは大変おめでたいお話ではございますが、一点ほど伺わせていただけるのであれば、それはすなわち体内に放出なさったという事ですか。だとすればそれは双方同意の上だったのですか。それとも体外放出されたのですか。もしくは途中から装着なさったパターンなのですか。あるいは最初から装着していたけれどもコンドーム装着時の性行為における妊娠率5.7%(日本産婦人科医会調べ)のうちの5.7%に見事選出されたのですか。」みたいな想像が頭をよぎるよねーみたいな話って割と聞くじゃないですか、私はそんなこと微塵も考えた事ありませんが。

 

あとは、ご夫婦やパートナー間で実際にこのような悩みがあるけれど人には言えず抱えている方が意外といる事を、後にこの作品に対して書かれている感想を読む中で知りました。

 

この作品のタイトルは、先述したような『なかなか聞けないけれど実はすごく聞いてみたい、他人の家庭に関する情報ランキングNo1』の好奇心を一直線に貫いたような、実に現代的なものだと感じます。

 

あまりにもキャッチ―というかなんというか、タイトルを見ただけで「ああ、入らないのだな」という思いがサブリミナル的な効果をもって頭をよぎりますよね。

そして「ちん」の復唱形でもなく「こ」でもなく「ぽ」派なんだなって思いますよね。

 

こちらの作品のタイトルは、そんな感じであんな事やこんな事を瞬時に想起させる一見コミカルかつ奇抜なものですが、内容は「女性のための性のハウツー本」的なものではなく、昨今よく目にする「女性が性について語る事をいつまでもタブー視しているこんな世の中じゃポイズン。だってそうでしょ?」という雰囲気のものでもありません。

 

ただただ筆者が『夫のちんぽが入らない』事やそれ以外の事も含めて、自身がこれまで歩んできた人生を淡々と語るという、いわゆる著者の人生の独白本として仕上がっています。

 

自叙伝を出版する人など数えきれない程いますが、この作品は、その独白があまりにも何もかもを独白しすぎていて、読んでいるこちらが「一応この本は全国の人が手に取れる流通システムになっているけれども・・・これ、本当にここまで書いて大丈夫なの・・・」 と全くの他人である私までが心配になるほどです。

 

Amazonで大きく分かれる賛否

Amazonのレビューでは、何事も極端な負の感情で捉えてしまい、傍から見れば明らかに好転している状況でも、歪曲に自分を責めて責めて責めつくす筆者の思考と文章とアンバランスな行動力に対して賛否が大きく分かれ、批判の方に目を向けると「読み進めていくうちに気が滅入った」「全く共感できない」「中身を読んでも解決しない」「ただのビッチじゃねーか」という風な感想をチラホラと見かけました。

 

この本の賛否が極端に分かれているのは、おそらく販売前からネット上でタイトルとそれに付随するイメージが先行しすぎた事が影響しており、他者の情動にそれ程関心の無い人達の目にも触れた為、批判が殺到したのではなかろうかと想像します。 

このタイトルだからこそ話題にもなったのだと考えればプラマイゼロ(むしろプラス)なのかなと思いますが「夫のちんぽが入らない事」や「入らなかったけどこうして克服できました!」という様な事を期待して購入した読者なら、読んでいて気が滅入る気持ちも分からなくはないです。

 

しかし、私の感想といたしましては、批判している方々は果たしてこの本を最後まで読んでそのような感想を書いたのだろうか…というのが正直なところです。 

 

著者に対して抱いた共感

個人的には、読み進めていく中でAmazonにおいて主に批判の対象となっている「内面と行動のアンバランスさ」を感じ取るにつれ、私と思考や嗜好がこんなにもよく似ている人がいるものなのかと驚きました。

 

どういう部分が似ているのかというと、ネタバレを回避するために具体的な部分を一部抽象化して表現すると、私も筆者も30代後半で子どもがおらず、いわゆる『人生の王道を通ってきていない』という点が挙げられます。

 

著者も私も「一般的なものさし」で測ればツッコミどころが満載な訳で、私も同様に、自分の生き方に対して他者から時々「そんな事をして、そんな事を考えて何になるの?どうしたいの?今後どうするの?」と聞かれる事は少なくありません。そして、聞かれれた時には「そうですね、何になるのですかね?一体どうしたいのでしょうね?どうなるのでしょうね?」としか返せないのですが、批判する人もまた「一般的なものさし」で測ればツッコミどころが満載だったりするわけで、そういうもので互いを計り出したら戦争待ったなしだったりします。

ですので、ものさしで何かを測るのは人生とちんぽ以外の時だけにした方が良いと思います。

 

 

少し脱線『親の心子知らず』の理屈おかしい問題

あと、この文章を書いていてふと思い出したのですが『親の心子知らず』『貴方も親になれば親の気持ちが分かる』という言葉。

 

これも「人生踏み外している人がオプションで言われがちあるある」の言葉なのですが、この件に関しましては、確かに私は親を経験していないので親の気持ちは分からないかも知れません。しかし全ての親は「子ども」を経験してきていますよね?親の子ども時代経験率は純度100%ですよね?でしたら、その理屈に乗せて考えれば『経験して来ているにもかかわらず子どもの気持ちが分からない』事の方がヤバくないですか?その事実に気付かないまま崩壊している理論を用いて他者を批判する人めっちゃヤバくないですか?

と・・・つい熱くなってしまい少し話が脱線してしまいました、失礼いたしました。

 

極端に低い自己肯定感の言語化がすごい

それにしても、社会生活に支障を来たす程に自己肯定感が低い人は、その原因や想いを言語化する事を苦手とする人が少なくないと思うのですが、そういう視点から見れば、自己肯定感の低い思考というものがどのようにして生まれるのかが言語化されているこの作品は、とても貴重なものだと思います。

 

さらに深読みをするならば、著者は人生の独白を更に独特な自虐ネタとして表現しており、ご自身も「この本は笑いポイントが結構あると思う」と何かで述べていらっしゃるのを見た気がするので、シリアスな部分は彼女なりのブラックジョークなのだろうと受け取って「ちょwwwおまwwwwマジかwwwwwwやーでもまあそういう人生もアリだよね」と反応するのが読者として適切なのではないかと思います。

 

まとめ

あまりにも自己肯定感が低くあまりにもシリアスで、冗談で言っているのか本気で言っているのか笑う所なのかどうなのかが判別しにくい著者の言動、恐らく狙ったものではなく(狙っているかも知れませんが)普段からこんな感じなんだろうなと想像すると、一人の女性の生き辛さに触れた思いです。

 

個人的には、著者であるこだまさんの七転八倒な人生は決して無駄ではなく、子どもは産めなくても、苦しみを抱えながら生きる人の心に寄り添える優しさ強さ柔軟さ、そしてこの作品をも産んだのだなと感じます。

 

今回の本の出版もその一つかと思いますが、時に後先を考えず衝動的に物凄く大胆な行動に出た果てに色々と踏み外しがちな著者こだまさんの人生の轍、そういう部分も私とよく似ているなと思い、こだまさんには非常に親近感を持った次第です。

 

 

 

以上です

おやすみ世界。

 

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